糖尿病糖質制限に患者が考えたこと2-糖質制限の弱点

前回の記事でも書きましたが、糖質制限は糖尿病治療として理にかなっていると思います。それは単純化すると

糖質摂取しなければ血糖値が上がらないので、合併症の予防ができる

につきます。

実際、私の場合も薬を使わずに4~5か月で、HbA1cが9.6から6.0まで下がりましたし、食後血糖値が180を超えること頻度は少ないですから、合併症のリスクは減っているとは思います。

一方で、糖質制限には、よく指摘される弱みがあるのも事実です。
多分、このブログをご覧の方はすでにご存じのことが多いでしょうが、私はこう考えている、ということを書いてみます。

脂質摂取とたんぱく質摂取の摂取量が増える

糖尿病学会の推奨する糖質摂取比率(数十年前の日本人の平均)は60%程度。私の場合は10%弱。
したがって、たんぱく質と脂質の摂取量は増えます。

たんぱく質摂取量増加の問題

たんぱく質をとりすぎると腎臓に悪いという話があります。糖尿病患者は合併症で腎臓が悪くなることがありますから気になります。

私は、糖質制限を始めた時(随時血糖値308、HbA1c9.6)
・腎臓関連の検査結果は悪くない
・血糖値を下げ、合併症の発症のリスクを減らすのが優先であるるのが優先である
・もし腎臓関係のデータが悪くなったら、糖質制限をやめよう
と考えました。

現在は、以下の情報を信頼しています。

「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書
においては、たんぱく質の耐容上限量は設定しないと記載してあります。
たんぱく質の耐容上限量は、たんぱく質の過剰摂取により生じる健康障害を根拠に設定されなければならない。しかし現時点では、たんぱく質の耐容上限量を設定し得る明確な根拠となる報告は十分には見当たらない。そこで、耐容上限量は設定しないこととした。

厚生労働省によれば、現時点では、正常人がタンパク質をたくさん食べて危険という根拠もないけれど、たくさん食べても安全という根拠もないということです。
まさに、自分で考えて選択して自己責任で食事療法を実践することとなります。

江部先生のブログから引用させてもらいました。

たんぱく質の摂取量と腎機能。 - ドクター江部の糖尿病徒然日記 
「糖尿病徒然日記 」として糖尿病治療や予防などをテーマに、私なりの意見や情報を発信していきたいと思います。

脂質摂取量増加の問題

飽和脂肪酸がよくない

飽和脂肪酸は動物性の脂肪に多く含まれているので、菜食ベースの食事の根拠としても使われているように思います。

また江部先生のブログですが

これに対して、例えば 2010年のAm J Clin Nutr(臨床栄養学雑誌)に、メタアナリシスと総説が発表されました。

21論文、約35万人をメタアナリシスして、5~23年追跡して1.1万人の脳心血管イベントが発生しました。

そして飽和脂肪摂取量と脳心血管イベントハザード比を検証してみると、飽和脂肪酸摂取量と脳心血管イベント発生は、関係がないことが明らかとなりました。(*)

今回,1983年以前に報告されていたランダム化比較試験(RCT)7論文を、メタ解析した結果「脂肪制限は冠動脈疾患死や全死亡を全く予防できていない」と結論づけた論文がOpen Heart(2015; 2: e000196)に報告されました。
Open HeartはBMJ(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル)の姉妹誌です。

さらに、日本人が対象の日本のコホート研究において、脂質摂取とさまざまなアウトカムとの間に相関がないか、負の相関があるそうです。

それも1件だけではなく、複数のコホート研究においてそうした負の相関が認められているとのことです。

つまり脂肪制限どころか、しっかり食べた方が総死亡率が減る可能性が高いわけです。

さらに、日本人が対象の日本のコホート研究において、脂質摂取とさまざまなアウトカムとの間に相関がないか、負の相関があるそうです。

それも1件だけではなく、複数のコホート研究においてそうした負の相関が認められているとのことです。

つまり脂肪制限どころか、しっかり食べた方が総死亡率が減る可能性が高いわけです。

 

この記事や扱われている研究で飽和脂肪酸が安全であると証明されたとは思っていません。
安全、危険、どちらの意見や調査研究もある=科学的に決定的なデータ・見解はない
と思っています。

ので、今のところ肉もチーズもバターもマヨネーズもあまり気にせず食べています。

脂質はインスリン抵抗性を高める

これは糖質制限反対派?の主張として出てくることがあるます。

インスリン抵抗性のある私としては気になるところです。

もしかしたら正しいのかもしれません。

しかし、この1年で私の場合数値が悪くなっているわけではないので、一般的には当てはまるが自分にはあまり影響がないのかもしれません。
あえて考えを整理すると

食後血糖値の合併症リスク>脂質摂取によるインスリン抵抗性リスク

ととらえて、気になるけれども、脂質をとっているのが現状です。

長く続けるのが困難

コストがかかる

これは否定できないですね。炭水化物中心のほうが安く済ませることはできると思います。
我が家の食費も増えています。肉や魚の量が増えているので。

強い我慢を強いられる

短期間だったらできるかもしれないがずっと我慢しないといけないから続かない、との論調も見ることがあります。
そういう論調は
①医療関係者など糖質制限に反対することが目的で主張している
②糖尿病患者でやってみて続かなかった
の2パターンあるように思います。

①は無視です。根拠ない主張なので反論も考察もしようがありません。

②については
・やり方が間違っている
・体質的に合わない
の2パターンあり得るかな、と感じます(詳しい情報がないと推測もできませんが)

自分の場合は、ですが、
最初はかなりしんどかった(食べられるものがなく、カロリーを補うためにオリーブオイルを飲んだりもしていたので)

食事の選択肢が増えて家での食事は不便を感じなくなった
空腹感の感じ方が弱くなった(空腹に鈍感になった)
しかし、外食時には選択肢がなかったり、ひとに合わせることができずに困ることが多かった

家での食事は制限しているというより、食べることができるものを選択する、おいしいものを増やす方向に変わってきた
外食は、昼食だけなら食べない選択もあり、一緒に食事する人への言い方もかわって苦にならなくなってきた。
(外食に不自由がないわけではないが)

というふうに、だんだんやりやすくなっています。

一生続く可能性が大きいので、自分がやりやすい方法、快適な(苦にならない)方法を見つける・改善していくことは、これからも課題であり続けそうです。

糖質制限は対処療法であり糖尿病が治らない

糖尿病は治る、との主張に見かける糖質制限批判です。

確かに糖質制限は、合併症を防ぐ治療法であり、完治する(膵臓の状態をもとに戻す、普通職で血糖値が上がらない)方法ではありません。

従来の糖尿病は治らない、徐々に悪くなる、合併症になる確率が高い、という治療法よりずいぶんよいとは思います。

治る方法があるとしたら、それには心惹かれます。

なので厳しい脂質制限やPBWF(菜食ベースのホールフード)には興味津々です。

今は糖質制限を継続しようと思っていますが、この方法で治ると明らかになったら(治った人がいる、ということではなく)、変えるかもしれません。

コメント

  1. えりのすけ より:

    こんばんは。
    最近お邪魔し始めたのですが、わかりやすく、身近に感じられる記述で
    関心を持って読ませて頂いています。
    私自身は、謂わば境界型位の状態で、糖尿関係で医者にかかっているわけでもないのですが、
    これ以上悪化させないために、自己測定を時々行いつつ、その数値を勘案しながら
    糖質量1日90gぐらいの食事スタイルにしています。
    が、やはりここでも書かれている、蛋白質の摂取過多にならないか、というのが一番気になるところです。
    女性は体重が低いので、糖質抑え気味の食事をしていると、カンタンに1日当たり体重の1.5倍位の
    グラム数の蛋白質を摂ることになるんですよね。
    幸か不幸か別の持病の関係で半年おきに採血しており、その一環でクレの数値等もフォローしていて、
    糖質制限努力開始後5年近くになる現在も、特に腎機能には影響は出ていないようなのですが、
    やはり長期的にはちょっと心配です。
    もともと炭水化物大好き人間でしたが、現在はまあまあおいしい糖質オフ食品もずいぶん流通している
    ので、それほど苦痛は感じないのですが、それよりやはり、糖質オフ食品の成分表を見ると
    蛋白質量が多い商品が多いので、気になってしまいます。
    最後に書かれていた「菜食ベースのホールフード」は私も興味があるのですが、今は未だ情報が
    少ないですね。何か有用な情報がありましたら教えて頂ければありがたいです。

    • ホリデー より:

      えりのすけさん
      はじめまして。コメントありがとうございます。

      ご存知かとは思いますが、「菜食ベースのホールフード」は Kさんのブログそれでも生きていくが詳しいです。

  2. えりのすけ より:

    返信頂きありがとうございました。
    私も、PBWFを初めて知ったのはKさんのブログでだったと記憶しています。
    ご自身が糖尿病とどのように向き合ってこられたかから書き起こされ、
    拝読していてリアリティの感じられる内容でした。が、ストンと落ちるところまで行かず・・・。
    ホリデーさんが昨年8/27のエントリーでリンクして下さった鈴木先生のブログも
    過去にたまたまアクセスしたことがあり、その中の「小さいお茶碗一杯の御飯を食べることが怖いと
    思ってしまう異常性に気付いてほしい」というような記述がグサッと突き刺さりました。
    先生ご自身もここ数年でずいぶんお考えを変えてきておられるようですが、
    その点も含めてフェアにオープンに語っておられるので、リライアブルな方だと感じます。
    が、私個人は、現時点では、
    ①自分自身は、長年(食べ物の嗜好と適正体重維持の両方の理由から)極めて低脂質・高糖質の食事を
    続けていて、結果、気が付いたら食後高血糖を起こすようになっていたという事実。
    ②現実問題として、現代の食環境の中では、PBWFの実践は、糖質制限よりはるかに難度が高そう
    であること。
    ③体脂肪率21~22%程度で現在も体重を維持することに汲々としている私が
    オイルカット・動物性食品排除を採用したら、激ヤセしそうであること。
    等から、今は未だPBWFへのトライに踏み出せる状況ではありません。
    この考え方自体緒についたばかりでしょうし、今後、更に議論が深まり実践面でも知見が蓄積されること
    を期待して注目していきたいと思います。
    何より「対症療法」ではなく「根治療法」となり得るのなら、これに優る福音はありませんから。
    色々ありがとうございました。