茶色の炭水化物を多く食べると体重が減る-そんな馬鹿な!

「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」という書籍では、茶色い炭水化物が健康に良く、白い炭水化物が健康によくないと言っているようです。

2型糖尿病で、食後の自己血糖測定をしている私は、どんな食品でも糖質の量で血糖値の上昇が決まることが自分のデータとして明らかなので(脂質などと一緒にとって上昇が遅れることはありますが)、白でも茶色でも私にとっては同じでこの書籍、興味がありませんでした。

ところが、東洋経済オンラインに、著者のカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)助教授津川 友介氏の記事があり、疑問が多いので引用されている論文を読んでみました。

津川氏の「茶色い炭水化物」についての記事

その記事のタイトルは
「新常識!やせるには「カロリーの質」が大切だ」
記事の中では
2011年にハーバード大学の研究者らが、アメリカ人約12万人を12〜20年間追跡して、食事内容が体重にどのような影響を与えるかを調査した観察研究があると研究が紹介されています。その研究を引用しながら
白い炭水化物を食べている人は体重が増加しているのに対して、茶色い炭水化物を食べている人では体重が減っている
フライドポテトを食べる人は太っている(大きな見出し)
じゃがいも、加糖飲料(糖分を含む炭酸飲料など。ここではダイエットコーラなどの無糖のものは含まない)、赤い肉、フルーツジュースなどをとっていた人ほど体重が増えていた。逆に、野菜や果物、ヨーグルトを食べていた人は体重が減っていた。

等と記載されています。
これってなるほど、と思いますか?
私はそんな馬鹿な、と思いました。どんな食品でも食べる量が変わらなければやせも太りもしないのではない、が常識的です。
茶色い炭水化物や野菜や果物、ヨーグルトを食べていたら体重が減ると思いますか?

[間違った科学的思考に注意] by たがしゅう先生

おかしいと思いつつ、とくにそれ以上調べていなかったのですが、たがしゅう先生のブログの以下の記事を読んで調べてたくなって調べてみました。

記事のタイトル
間違った科学的思考に注意

この研究に関するたがしゅう先生の指摘
津川氏は、「白い炭水化物と茶色い炭水化物とでは体重変化との関係が真逆であったというのは興味深い知見」と述べていますが、
これは実際に白い炭水化物と茶色い炭水化物とで体重の変化がどうなるかを実験してみればわかると思いますが必ずしも論文が表しているような結果にならない人がほとんどであろうと思われます。

なぜならば白い炭水化物であろうと、茶色い炭水化物であろうと、含有される糖質の量には大差はないからです。

それでは論文の信ぴょう性自体が怪しいのではないかと考えるのが妥当なはずですが、それを確認しないまま突き進むのが津川氏の科学的な論法です。

論文をうのみにせず、内容を吟味するのが科学的態度だ、と理解しました。

引用されている論文の内容

この論文、ウエブで公開されているので、素人なりに内容を吟味しようと読んでみました。(引用している論文を紹介してくれるのはありがたいことです。)

この研究は、アメリカの看護師、医療従事者むけの3つの調査研究(1986年から2006年、1991年から2003年、1986年から2006年)のデータをあさせて分析したもので、4年間の食事内容や生活習慣の変化と体重の増減の関係を分析しています。

3つのも10年以上の長い期間の調査であるにもかかわらず、そのうちの4年間の変化について分析しているのは少し気になります。

3つの調査を横断で気に分析的る範囲が4年間しかなかったのか、6年とか10年より4年間が都合の良いデータが出たのか、そこらへんはな何ともわかりませんが、統計的に都合の問い結果だけを切り取ることは、まあよくあること(と思われます。)(研究者にとって都合の良いデータであっても、その期間の事実であることは間違いないわけです。)

食事内容(食品項目)の増減と体重の増減の関係を分析している

この研究では、食事内容の変化と体重の増減を見ています。

ですから、この研究が示しているのは

「フライドポテトを食べる人は太っている」ではなく、
「フライドポテトを食べる量を増やした人は太った」という何ともあたり前の話です。

そのほかに、バター、ポテトチップス、精製された穀物(白い炭水化物)、加工肉、赤身の肉(牛肉など)の消費を増やした人は体重が増えていることも示されています。

これもあたり前ですね。これらの食品を食べる量を増やせば体重は増えるでしょう。

ところが一方で、この研究では

果物、野菜、ナッツ、ヨーグルト、全粒穀物(茶色い炭水化物)の食べる量を増やした人は体重が減っています。

これ、おかしくないですか?食べる量が増えているのに体重が減るって?

総エネルギ量摂取(カロリー)を見ていない

この研究は、カロリーの総摂取量を分析していません。その理由として

Total energy intake, biologic factors (e.g., blood pressure), and medications were not included as covariables because such factors could be mediators (in causal pathways) or direct correlates of mediators of the effects of lifestyle on weight gain.
超意訳:総摂取エネルギー量などは、体重増加とダイレクトに関係するので変数としなかった。

と書いてあります。素人の私にはよく意味が分かりませんが、理由になっていないような気がします。

食品項目間の関連を見ていない

もう一つおかしいと思うことがあります。

多変量解析を行えば、項目間の関係を明らかにすることができます。

例えば、ポテトチップスを食べる量が増えた人は、果物を取る量も増えたのか減ったのか、無関係なのか、というようなことは統計的には簡単に分析できるので、単一の食品ではなく、食事パターン(例えば:A食品を増加する人はとB食品は増加する傾向があり、C食品、D食品は減少する、その他の食品は変動しない)を示すことは簡単にできます。

なぜ、そのような分析を行わない、或いは研究結果として発表しないのでしょうか。

4年前と比べて、野菜、果物、全粒穀物を食べる量を増やした人はどんな人でしょうか?どんな意思を持っているのでしょうか。?野菜、果物、全粒穀物を食べる量を増やした人は、他の食品や摂取するカロリー量はどうなっているでしょうか?

素人なりにこの研究が示していると思うことなど

栄養学、医学の専門知識がないこと、英語にあまり強くないこと、などから、私の解釈が間違っている可能性も十分あるとは思うのですが、私なりに勝手な解釈をしてみました。

この研究データが示している可能性があるのは

(体重増加したくないので食事に気を遣って人の中で)野菜、果物、全粒穀物の量を増やし、他の食品を減らして総カロリーを抑えた人が体重が減少した、というだけのことのような気がします。

さらに言えば、総カロリーを増やした人は体重が増え、総カロリーを減らした人は体重が減少した、というそれだけの結論になりそうな気もします。

私の持った疑問(総カロリーを取り上げない、食品項目間の関係を見ない)ことは、専門家である記事の著者の津川氏はその意味についてきっとご存知のことと思います。

専門家が、論文や研究を引用して「こういうことだ」と説明すると、私たちは、なるほどそういうことか、と鵜呑みにします。

・専門家は真実を知っている
専門家は客観的事実を説明している

と信じるのはやめたほうがよさそうです。とくにアンダーラインは、食事と健康、糖尿病治療に関する限り、そうでないことが多いように思います。

コメント

  1. ろんり~うるふ より:

    ホリデーさんこんにちわ。
    ホリデーさんに初コメしてから、すっかりホリデーさんのファンになりました。あ、変な意味ではないですよ。

    物事を客観視されてる所が共感できます。
    自分も含め、人間はどうしても自己を正当化したいけど、
    ホリデーさんは、冷静に分析してるところが凄いと思います。

    自分の経験と自分がユーチューブで登録しているビルダー10数人では、
    減量期は「消費カロリー>摂取カロリー」で
    増量期は「消費カロリー<摂取カロリー」です。

    これは、机上ではなく実際、体がほう反応してるからだそうです。
    この辺は、魔法は無いのかなと思います。

    実際、今日、自分も記事にしたけど、ここ何日か「消費カロリー>摂取カロリー」の状態で、約3㎏減ってしまいました・・・・・。

    • ホリデー より:

      ろんり~うるふさん
      ありがとうございます。

      自分で言うのもなんですが、本当はすぐに人の言うことを信じるほうです。これを食べれば糖尿病が治る、ときけばすぐに試してみるほうです。(-_-;)

      それがわかっているのでなるべく客観的になろうとしています。
      糖質制限の効果を感じていますが、礼賛、良い情報だけ見る、というふうにはなりたくないです。

      やっぱり体重増加、減少は消費カロリーと摂取カロリーカロリーの差、というのが納得できる考えですね。

      早く体の調子を回復してくださいね。

  2. くるくる より:

    私はこれまで何度もダイエットしてきましたが、確かにカロリー低くすると
    最初は痩せます。けどだんだん減らなくなって、そのうちリバウンドしちゃう。
    ダイエットシェイクの置き換えも何度もやりました。やはり人間の体は
    算数で計算できる単純なものではないのでしょう。
    インスリン(同化ホルモン)とグルカゴン(異化ホルモン)のバランス、基礎代謝
    などが関係していると思います。
    私のように子供の時から肥満の人はたぶん、インスリンはしっかり出て、常に
    高インスリンで、食べたものをどんどん同化してブクブク太る。しかし
    そのうちインスリン抵抗が上がって、血糖値は上がる。しかしまだ脂肪の同化は
    せっせと行われ、痩せはしない。そのうちついに膵臓が疲弊して低インスリン状態と
    なり、同化が減って、代わりにグルカゴンによる異化が更新し、「あれ?何も
    してないのに痩せていく?」と気づいたときに、糖尿病発覚、ってパターン
    が多いような。
    そして糖質制限して痩せて、またインスリンの分泌能が戻ってくると、インスリンは
    糖質以外の食べ物でも刺激されますから、糖を食べないから血糖値は上がらないけど
    軽く高インスリン状態となり、そこに「脂肪は食べ放題だから」とアホほど食べてる
    と、また脂肪の同化が始まる・・・私の経験と仮説ですが。
    (以前は糖質制限のことを低インスリンダイエットと言ってましたが、糖質以外を
    過剰に食べるなら、低インスリン状態ではないのかもしれません)
    とにかく人間の体は驚くほど複雑で、飢餓状態の時のバックアップシステムも完備
    されてて、これがダイエットには邪魔だったりしますね。

    あと、マイケル・クレガー博士の本には、菜食にすると睡眠時の基礎代謝が11%
    上がる。って書かれてました。ほんとかどうかは知らないですけど。

    それと、精白された穀物はほぼ全部が小腸で吸収されるけど全粒穀物のでんぷん質の
    何割かは大腸まで到達し(大腸では吸収されない)、腸内細菌の餌となる、って
    ことだそうです。

  3. 藤原 より:

    はじめまして。
    これ、要はジャンクフードを止めて自然に近い、まともなものを食べれば痩せるよ、ということだと思います。摂取カロリーは、かってに適正になるんでしょう

    • ホリデー より:

      藤原さん
      はじめまして。コメントありがとうございます。
      まあそういうことかもしれませんね。